レジリエンスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
レジリエンスとは、困難な状況に直面しても折れずに適応し、乗り越えていく力のことです。
アメリカの心理学者バーバラ・フレドリクソン博士らは、「ポジティブ感情がレジリエンスなど人生に役立つ資源を築く」という理論を提唱し、その実証研究を行いました。
その研究が、「Open hearts build lives: positive emotions, induced through loving-kindness meditation, build consequential personal resources」という論文で発表されています。
この研究では、ポジティブな感情体験を意図的に増やすことで、人はレジリエンスなど様々な心理的資源を獲得し、人生の満足度も高まることが明らかになりました。
つまり、ポジティブ感情は単なる一時的な良い気分ではなく、私たちの人生をより良いものにしていく力を持っているのです。
この記事では、フレドリクソン博士らの研究を詳しく解説しながら、ポジティブ感情を味方につけることが、なぜ私たちの人生を豊かにするのか、そしてどうすればポジティブ感情を育めるのか、について考えていきたいと思います。
今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
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目次
ポジティブ感情が「レジリエンス」など大切な資源を育てる
ポジティブ感情とは何か
喜び、感謝、愛情、興味、誇りなど、心地良く生き生きとした感情体験のことを指します。
一方、ネガティブ感情は怒り、悲しみ、恐れなどの不快な感情を表します。
ポジティブ感情は一時的な気分ではなく、私たちのウェルビーイングに長期的な影響を与える重要な要素です。
また、ポジティブ感情は意図的に引き出すことができ、訓練によって増やすことが可能だと考えられています。
私たちの日常は、ポジティブ感情とネガティブ感情の入り混じった体験の連続です。
大切なのは、ネガティブ感情を無理に排除するのではなく、ポジティブ感情を意図的に味わい、引き出していくことだと言えるでしょう。
そうすることで、ポジティブ感情が優位な状態を保ち、前向きに生きる力を得ることができるのです。
ポジティブ感情が思考や行動に与える影響
ポジティブ感情は、私たちの思考や行動を大きく変化させます。
- 柔軟で創造的な思考ができる
- 新しいことに興味を持ち、積極的に探索する
- 他者とのつながりを求め、社会的になる
- ストレスに適応的に対処できる
つまり、ポジティブ感情は私たちの視野を広げ、多様な可能性に開かれた状態をつくり出すのです。
日常生活の中で、ポジティブ感情を意識的に味わうことは、私たちを前向きな思考と行動へと導いてくれます。
それは、子どもの頃に感じていた好奇心や冒険心を呼び覚まし、私たちを成長へと誘ってくれるのかもしれません。
ポジティブ感情は一過性の体験ですが、それを積み重ねることで、私たちの人生を大きく変えていく力を持っています。
ポジティブ感情が築く主な個人的資源
私たちの人生に役立つ様々な個人的資源を築きます。
主な資源には以下のようなものがあります。
- 知的資源:新しい知識やスキル
- 心理的資源:レジリエンス、楽観性、自尊心
- 社会的資源:良好な人間関係、ソーシャルサポート
- 身体的資源:健康、体力
これらの資源は、私たちがより良く生きていくために欠かせない要素だと言えます。
例えば、困難な状況に直面した時、レジリエンスがあれば折れずに乗り越えていけるでしょう。
豊かな人間関係は、孤独を防ぎ、支え合える安心感を与えてくれます。
ポジティブ感情は、これら資源の獲得を促進する触媒の役割を果たします。
ポジティブ感情によって広げられた思考と行動は、新しい経験や学習の機会を増やし、人とのつながりを深めていきます。
こうして育まれた資源は、人生の困難を乗り越える原動力となり、私たちをエンパワーメントしてくれるのです。
レジリエンスとは何か
困難な状況に直面した時に、折れずに適応し、乗り越えていく力のことです。 レジリエンスは、しなやかな強さや回復力とも表現されます。
これが高い人は、以下のような特徴を持っていると考えられています。
- ストレスに上手く対処できる
- 失敗をバネに成長できる
- 困難な状況でも希望を失わない
- 他者からのサポートを上手く活用できる
レジリエンスは先天的な能力ではなく、後天的に身につけることができるスキルです。
つまり、誰もがレジリエンスを高めることができるということです。
レジリエンスを鍛えることは、人生の荒波を乗り越え、自分らしく生きていくために大切なプロセスだと言えるでしょう。
このようにレジリエンスは、人生の様々な場面で私たちを助けてくれる心の強さです。
レジリエンスを高めることは、自分自身を信じる勇気を持ち、前向きに生きる力を養うことにつながります。
人はいつも強くあろうとする必要はありません。
しかし、困難に直面した時に、折れない心を持つことができれば、必ず道は開かれるはずです。
レジリエンスを高めるにはどうすれば良いか
レジリエンスを高めるためには、日々の生活の中で意識的に取り組むことが大切です。 以下のようなアプローチが効果的だと考えられています。
- ポジティブ感情を意図的に味わう
- 自分自身とのつながりを深める(自己理解、自己受容)
- 他者とのつながりを大切にする(感謝、思いやり)
- 困難な経験を学びの機会ととらえる
- 自分なりのストレス対処法を見つける
これらを日常的に実践することで、レジリエンスは少しずつ強化されていきます。
また、レジリエンスを高めるためには、自分自身を大切にし、十分にセルフケアをすることも重要です。
自分の心と体の声に耳を傾け、休息を取るのです。
そして、自分を取り巻く環境にも目を向けてみましょう。
家族や友人など、支えてくれる人たちとのつながりを大切にすることもレジリエンスを育む助けになるはずです。
レジリエンスは一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、日々の積み重ねによって、着実に心の筋肉を鍛えていくことができるのです。
レジリエンスを高めることは、自分自身を信じ、人生を力強く生きるための土台作りだと言えるでしょう。
ポジティブ感情とレジリエンスの関係
ポジティブ感情とレジリエンスには密接な関係があります。 以下のようにしてポジティブ感情はレジリエンスを高める働きがあると考えられています。
- ストレスからの速やかな回復を促す
- 困難な出来事の意味を見出し、再解釈する力を与える
- 社会的つながりを強化し、サポート網をつくる
- 積極的な問題解決アプローチを促進する
つまり、ポジティブ感情は、レジリエンスの源泉であり、レジリエンスを発揮するための心理的資源なのです。
一方で、レジリエンスが高いことで、ポジティブ感情を維持しやすくなるという相互作用もあります。
レジリエンスが高い人は、困難な状況でもポジティブ感情を感じる機会を見出し、それを活用して乗り越えていく力を持っているのです。
このようにポジティブ感情とレジリエンスは、互いに影響を与え合いながら、私たちの心の健康と成長を支えています。
ポジティブ感情を意図的に味わうことは、レジリエンスを高めるための一つの重要な方法だと言えるでしょう。
そして、ポジティブ感情とレジリエンスが高まれば、人生のあらゆる場面で、より良い選択とアクションが可能になるはずです。
瞑想はポジティブ感情を引き出す効果的な方法
瞑想にはどのような種類があるか
様々な種類があり、その目的や方法は多岐にわたります。 主なものとしては以下のようなものがあげられます。
- マインドフルネス瞑想:今この瞬間の体験に意識を向ける
- 集中瞑想:特定の対象(呼吸、マントラなど)に意識を集中する
- 洞察瞑想:自己や世界の本質を観察し、洞察を得る
- 慈悲(メッタ)瞑想:自他へ思いやりの心を向ける
また、瞑想は座って行うイメージが強いですが、歩行瞑想や動作瞑想など、動きながら行うものもあります。
宗教的な文脈で行われることも多いですが、必ずしも宗教と結びつける必要はありません。
最近では、ストレス低減や心身の健康増進を目的とした世俗的な瞑想法も広く普及しています。
瞑想は、私たちの内面を見つめ、心を鎮め、集中力を高めるためのツールだと言えます。
目的に応じて様々なアプローチがあるので、自分に合った方法を見つけることが大切です。
瞑想は誰でも簡単に始められます。まずは短い時間から始めて、徐々に慣れていくのがよいでしょう。
日常生活の中に瞑想を取り入れることで、新しい自分との出会いがあるかもしれません。
今回の実験で用いられたLoving-kindness meditationとは
Loving-kindness meditation(慈悲の瞑想、略してLKM)は、自分自身と他者に思いやりと優しさを向ける瞑想法です。 この瞑想では、以下のようなステップを踏みます。
- 自分自身に愛と思いやりを送る
- 大切な人に愛と思いやりを送る
- 知り合いや中立的な人に愛と思いやりを送る
- 苦手な人や敵対する人にも愛と思いやりを送る
- すべての生きとし生けるものに愛と思いやりを送る
LKMは、自分と他者への優しさと慈悲の心を育むことを目的としています。
「May you be happy(あなたが幸せでありますように)」というフレーズを唱えながら、愛情のこもった感情を意図的に生み出していきます。
最終的には、自他の区別なく、すべてのものに平等な思いやりを向けることを目指します。
LKMの特徴は、ポジティブ感情(愛情、思いやり、喜びなど)を意図的に生み出す点にあります。
他の瞑想法が意識の集中やニュートラルな観察を重視するのに対し、LKMではポジティブ感情の喚起が中心になります。
この特性から、LKMはポジティブ感情の増幅とその効果の検証に適していると考えられています。
瞑想がポジティブ感情を引き出すメカニズム
瞑想がポジティブ感情を引き出すメカニズムには、心理的・生理的な側面があると考えられています。 主な要因としては以下のようなものが挙げられます。
- マインドワンダリング(雑念)の減少→集中力の向上
- セルフコンパッション(自分への思いやり)の増加→自己受容の促進
- 視点取得の向上→他者への共感の増加
- リラクセーション反応の誘発→ストレスの低減
瞑想中は、呼吸や特定の対象に意識を向けることで、日常的な雑念から離れ、心を鎮めることができます。
これにより、自分の内面を見つめる機会が生まれ、自己理解が深まっていきます。
また、慈悲の瞑想では、自分と他者への優しさと思いやりの心を意図的に育むことで、自他を分け隔てなく受け入れる態度が身についていきます。
さらに、瞑想時の穏やかで安定した心身の状態は、ストレス反応を鎮静化し、心の安らぎをもたらします。
これらの心理的・生理的な変化が相まって、瞑想中とその後の日常生活において、ポジティブ感情が涌き上がりやすい状態が生み出されるのです。
瞑想の継続がポジティブ感情を増幅させる
瞑想を継続的に実践することで、ポジティブ感情の恩恵がより大きくなることが明らかになっています。 今回の研究でも、以下のような
結果が示されました。
- 瞑想を重ねるごとに、1時間の瞑想でポジティブ感情が引き出される量が増加した
- 8週間で、ポジティブ感情の引き出され方が3倍に増幅した
- 瞑想の効果は蓄積され、日常生活全体に波及していった
つまり、瞑想の継続は、ポジティブ感情を喚起する能力を向上させ、その効果を長期的に高めていくことがわかったのです。
瞑想を習慣化することで、私たちはポジティブ感情を自在に引き出す力を身につけていけるようです。
1回1回の瞑想での変化は小さくても、それを毎日続けていくことで、変化は着実に蓄積されていくのです。
瞑想は、一朝一夕にマスターできるものではありません。
しかし、たとえ短い時間でも毎日続けることで、誰もがポジティブ感情を味方につけることができるはずです。
瞑想の効果を実感するには継続が何より大切だと言えるでしょう。
ポジティブ感情を日常的に体験できる喜びを味わうためにも、瞑想を生活の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。
日常生活に瞑想を取り入れるコツ
日常生活の中に瞑想を習慣化するためには、いくつかのコツがあります。 主なポイントは以下の通りです。
- 毎日決まった時間に練習する(朝起きてすぐ、寝る前など)
- 最初は無理のない時間から始める(1~5分程度)
- リラックスできる場所を確保する
- 姿勢は楽に保つ(座禅スタイルでなくてもよい)
- 呼吸に意識を向けることから始める
- 雑念が浮かんだら、優しく意識を呼吸に戻す
- 眠くなったら、姿勢を正す
何より大切なのは、自分のペースで無理なく続けることです。
最初のうちは短い時間から始めて、徐々に時間を延ばしていくのがおすすめです。
また、アプリなどを活用すれば、ガイダンスに沿って瞑想を進めることができるので、一人で実践するハードルが下がります。
瞑想の効果を実感するには、毎日の積み重ねが何より大切です。
忙しい日々の中で、自分のための時間を確保することは簡単ではありません。
しかし、わずかな時間でも自分と向き合うことは、心の健康と成長にとって大きな意味を持つはずです。
瞑想は、自分自身の内なる泉に気づくための一つの方法なのかもしれません。
ポジティブ感情が資源の形成を通して人生を豊かにする
知的資源の獲得を助けるポジティブ感情
ポジティブ感情は、学習や問題解決などの知的活動を促進し、知的資源の獲得を助けることが明らかになっています。 その主なメカニズムは以下の通りです。
- 創造性の向上:発散的思考を促進し、新しいアイデアを生み出しやすくする
- 認知の柔軟性の向上:多角的な視点から問題をとらえられるようになる
- 動機づけの向上:学習や探索行動へのエネルギーが高まる
- 記憶力の向上:ポジティブな出来事をよりよく記憶する
例えば、ポジティブ感情が豊かな子どもは、遊びの中で好奇心を発揮し、新しい知識やスキルを獲得していきます。
また、ポジティブ感情は、仕事のパフォーマンスとも関連することが示されています。
ポジティブ感情を多く経験する労働者は、創造的な問題解決ができ、生産性も高いことが報告されているのです。
このようにポジティブ感情は、私たちの認知機能を最適な状態に導き、知的な成長を促してくれます。
日々の生活の中で、ポジティブ感情を意図的に味わうことは、知的な学びと発見のチャンスを広げることにつながるでしょう。
子どもから大人まで、ポジティブ感情は生涯にわたる知的資源の獲得を助ける重要な鍵になるはずです。
ポジティブ感情がレジリエンスなどの心理的資源の形成を促す
ポジティブ感情は、レジリエンス、楽観性、自尊感情など、心理的資源の形成を促進することが分かっています。
その主なプロセスは以下の通りです。
- ストレス耐性の向上:ストレスに適切に対処する力が高まる
- ポジティブな未来観の形成:希望を持ち、前向きに生きる力が育まれる
- 自己肯定感の向上:自分の良さを認め、自分らしく生きる勇気が生まれる
- 人生の意味の発見:自分の存在意義や生きる目的を見出しやすくなる
例えば、ポジティブ感情が豊かな人は、困難な状況に直面しても折れにくく、回復力が高いことが示されています。
また、ポジティブ感情は自尊感情を高め、自分に自信を持って生きる力を与えてくれます。
人生の意味や目的を感じることもポジティブ感情によって促進され、生きがいを持って人生を歩むことができるようになります。
このようにポジティブ感情は、心の健康と成長に欠かせない心理的資源を育んでくれます。
ポジティブ感情を味わうことは、自分らしく生きるための心の土台を築くことにつながるのです。
人生の様々な場面で、ポジティブ感情を味方につけることができれば、どんな困難にも立ち向かう勇気と希望を持ち続けることができるでしょう。
ポジティブ感情がソーシャルサポートなどの社会的資源を築く
ポジティブ感情は、良好な人間関係の形成と維持を助け、ソーシャルサポートなどの社会的資源の獲得につながることが明らかになっています。 その主なメカニズムは以下の通りです。
- 社交性の向上:他者と積極的に関わり、友好的になる
- 共感性の向上:他者の感情を読み取り、思いやる心が育まれる
- 協調性の向上:他者と協力し合い、Win-Winの関係を築く力が高まる
- 感謝の心の育成:他者からの助けや恩恵に気づき、感謝できるようになる
例えば、ポジティブ感情豊かな人は、パーティーや社交の場で輝き、多くの人との出会いと交流を楽しむことができます。
また、ポジティブ感情は、他者の痛みや喜びを我が事のように感じる共感力を高めてくれます。
他者と喜びを分かち合い、助け合う関係性を築くことは、ポジティブ感情によって促進されるのです。
私たち人間は一人では生きていけません。
社会的な絆とサポートは、私たちが幸福に生きるための大切な資源です。
ポジティブ感情が健康などの身体的資源に与える影響
ポジティブ感情は、身体の健康維持と増進に大きな影響を与えることが明らかになっています。
その主なメカニズムは以下の通りです。
- 免疫機能の向上:ウイルスや病原体への抵抗力が高まる
- ストレス反応の緩和:心拍数や血圧の上昇が抑えられ、リラックス反応が促進される
- 健康的な生活習慣の促進:運動や睡眠、バランスの取れた食事などの実践が後押しされる
- 痛みの軽減:慢性的な痛みに対する耐性が高まり、痛みの主観的な感覚が和らぐ
例えば、ポジティブ感情が豊かな人は、風邪をひきにくく、たとえひいても早く回復することが報告されています。
また、ポジティブ感情は、ストレスフルな状況でも心身の健康を保つ力を与えてくれます。
運動や健康的な食事など、体に良い習慣を続ける原動力にもなるのです。
私たちの心と体は密接に関係しています。
心が健康であれば、体も健康でいられる可能性が高くなります。
ポジティブ感情を味わうことは、心身の健康を手に入れるための一つの方法だと言えるでしょう。
ポジティブ感情は、病気に負けない体と、健康的なライフスタイルを送る活力を与えてくれるのです。
まさに、ポジティブ感情は健康長寿の秘訣なのかもしれません。
レジリエンスなどの資源の獲得が人生満足度の向上につながるプロセス
ポジティブ感情による資源の獲得は、人生満足度の向上へとつながっていきます。 その主なプロセスは以下の通りです。
- ポジティブ感情が様々な個人的資源(知的、心理的、社会的、身体的)の獲得を促進する
- 獲得された資源が日常生活でのパフォーマンスと適応力を高める
- 高まったパフォーマンスと適応力が成功体験と達成感をもたらす
- 積み重ねられた成功と達成が人生に対する満足度を向上させる
つまり、ポジティブ感情がもたらす資源は、私たちを成功へと導く力となるのです。
例えば、知的資源は学業や仕事での業績につながり、心理的資源は逆境を乗り越えるための原動力となります。
社会的資源は良好な対人関係を築き、ステップアップのチャンスをもたらしてくれるでしょう。
そして、身体的資源は、それらすべてに挑戦するためのエネルギーの源泉になります。
このように、ポジティブ感情がもたらす資源は、人生のあらゆる側面で私たちを助け、人生満足度を高めていくのです。
ポジティブ感情は、人生の質を高めるための一つの重要な鍵だと言えるでしょう。
ポジティブ感情を大切にし、意図的に育んでいくことが、充実した人生を送るためのヒントになるはずです。
実験で観察された具体的な変化の例
今回の研究では、ポジティブ感情の増加が資源の獲得と満足度の向上につながる様子が、具体的に観察されています。 例えば、以下のような変化が報告されました。
- マインドフルネスの向上:今この瞬間の体験に意識を向けられるようになった
- 人生の目的の発見:自分の生きる意味や目標を見出すことができた
- ソーシャルサポートの充実:支え合える人間関係が築けるようになった
- 病気の症状の軽減:風邪をひきにくくなり、体調不良の訴えが減少した
また、参加者からは以下のような声が聞かれました。
- 「毎日の生活の中で、小さな喜びや感謝の瞬間に気づけるようになりました」
- 「困難なことがあっても、以前よりポジティブに考えられるようになりました」
- 「家族や友人との絆がより深まり、お互いを思いやる気持ちが強くなりました」
- 「以前より体調が良く、エネルギッシュに過ごせる日が増えたように感じます」
これらの変化は、ポジティブ感情がいかに私たちの人生に良い影響を与えるかを如実に示しています。
そして、こうした変化は、決して特別な人だけに訪れるものではありません。
誰もが日常の中でポジティブ感情を味わうことで、同じような恩恵を受けることができるはずです。
今回の研究は、ポジティブ感情を育むことの大切さを改めて教えてくれます。
ポジティブ感情と資源獲得の好循環が生まれるメカニズム
ポジティブ感情と資源獲得の間には、正のフィードバックループが存在すると考えられています。
つまり、以下のようなサイクルが生まれるのです。
- ポジティブ感情が個人的資源の獲得を促進する
- 獲得された資源がさらなるポジティブ感情を生み出す
- 増加したポジティブ感情がさらなる資源の獲得を促す
- 正のループが繰り返され、ポジティブ感情と資源が相互に強化し合う
例えば、ポジティブ感情が創造性を高め、新しいアイデアを生み出すことができたとします。 そのアイデアが評価され、達成感や自信につながれば、さらなるポジティブ感情が湧き上がってくるでしょう。
すると、次はもっと大きなチャレンジに挑戦しようという意欲が生まれ、また新たな資源の獲得につながっていくのです。
こうした好循環は、日常生活のあらゆる場面で生まれる可能性があります。
ポジティブ感情と資源獲得の好循環に乗ることができれば、私たちの人生はより豊かで充実したものになっていくはずです。
ポジティブ感情と資源獲得の好循環は、まさに上昇スパイラルとも言えます。 一度良い流れに乗ることができれば、どんどん加速していく可能性を秘めているのです。
私たちには、この好循環を生み出す力が備わっています。
ポジティブ感情を味わうことがレジリエンスを得る鍵
意図的に引き出すことができるポジティブ感情
ポジティブ感情は、私たち自身の心がけ次第で意図的に引き出すことができます。 その主な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- 感謝の練習:日々の小さな恵みに目を向け、感謝の気持ちを味わう
- 親切な行動:他者に親切にすることで、自らもポジティブ感情を味わう
- 達成の祝福:目標を達成したときに、自分の頑張りをねぎらい、喜びを味わう
- 楽しい活動:好きなことをする時間を意図的に設ける
また、先述の通り、瞑想はポジティブ感情を引き出すための強力なツールだと言えます。
特に、慈悲の瞑想(マインドフルネス瞑想)は、自他への思いやりの心を育み、ポジティブ感情を呼び覚ますのに効果的です。
大切なのは、「ポジティブ感情は自分で育むことができる」というマインドセットを持つことです。 ポジティブ感情は、受け身で待っているだけでは訪れてくれません。
自ら進んで体験を味わい、引き出していく積極的な姿勢が必要不可欠なのです。
ポジティブ感情を意図的に育むことは、私たちの人生観を大きく変える可能性を秘めています。
自分の心がけ次第で、人生をより良いものにしていくことができるのだと実感できれば、今よりずっと自由で充実した人生を送れるはずです。 ポジティブ感情は、その第一歩を踏み出すための勇気と希望を与えてくれるでしょう。
日常生活の中で簡単に実践できるポジティブ感情体験法
ポジティブ感情を味わうために、特別なことをする必要はありません。 日常生活の中で、以下のような簡単な実践を積み重ねていくことが大切です。
- 自然に触れる:木々の緑、花の美しさ、鳥のさえずりを感じる
- 音楽を聴く:好きな音楽に耳を傾け、心を癒やす
- 体を動かす:軽い運動やストレッチで、爽快感を味わう
- 人と交流する:家族や友人と楽しく語らい、絆を深める
- 美味しいものを味わう:好きな食べ物や飲み物を、ゆっくりと味わう
- 創造的な活動をする:絵を描く、日記を書く、手芸をするなど、没頭できる時間を作る
これらは、誰もが日常的に実践できることばかりです。 大切なのは、「これをしたら、ポジティブな気分になれるかも」という意識を持ちながら取り組むことです。
小さなポジティブ体験の積み重ねが、やがて大きな変化を生み出していくはずです。
また、ポジティブ感情を引き出すためには、「今、ここ」に意識を向けることが大切だと言われています。 過去の後悔や未来の不安に思いを巡らせるのではなく、目の前の体験に意識を向ける。
そうすることで、日常のささやかな喜びに気づき、ポジティブ感情を味わうことができるようになるのです。
ポジティブ感情体験を習慣化するためのアドバイス
ポジティブ感情体験を一時的なものに終わらせないためには、習慣化することが大切です。 そのためのアドバイスをいくつか紹介しましょう。
- 毎日の習慣に組み込む:毎朝感謝の気持ちを思い浮かべる、就寝前に良かったことを振り返るなど、日課として取り入れる
- 仲間を作る:一緒に実践する仲間を見つけ、お互いに励まし合う
- 記録を付ける:ポジティブ体験を日記に書き留め、振り返る習慣を作る
- 小さな一歩から始める:無理のない範囲で、できることから始める
- 完璧を目指さない:時々サボっても、気にせず続けることが大切
習慣を作るためには、まずは小さな一歩から始めることが大切です。 毎日続けることを目標に、無理のない計画を立てましょう。
そして、仲間と一緒に実践することで、モチベーションを保ちやすくなります。 お互いの体験を共有し、励まし合える仲間がいれば、きっと続けやすくなるはずです。
また、ポジティブ体験を記録に残しておくことも習慣化に役立ちます。 日記やノートに、その日味わったポジティブ感情を書き留めておく。
後から振り返ってみれば、ポジティブ感情を味わう喜びを再確認できるでしょう。 記録は、ポジティブ感情体験を習慣化するための強い味方になってくれます。
最後にレジリエンスのまとめ
以上見てきたように、ポジティブ感情は私たちの人生をより豊かにするための強力な味方だと言えます。
ポジティブ感情は、レジリエンスや人生の目的、良好な人間関係など、人生に役立つ様々な資源の獲得を促進してくれます。
そして、それらの資源が互いに関連し合いながら、私たちを幸福で充実した人生へと導いてくれるのです。
感謝の気持ちを味わう、他者に親切にする、瞑想を行うなど、日常的に実践できる方法を通してポジティブ感情を育むことができるのです。
大切なのは、ポジティブ感情を味わうことを習慣にすること。
最初は小さな一歩から始めて、ゆっくりと自分のペースで実践を重ねていきましょう。
時にはうまくいかないこともあるかもしれません。
それでも諦めずに続けていくことが何より大切です。
なぜなら、ポジティブ感情はあなた自身の人生を、より良いものに変える力を秘めているのですから。
※本記事は以下の本に掲載されている論文をもとに作成しています。ぜひご覧ください。
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ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。