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問題児の遺伝要因は80%!子どもサイコパスの研究を解説

    問題児の遺伝

    問題児の遺伝は本当にあるのでしょうか?

    子どもが言うことを聞かない、けんかばかりする、そんな姿を見ると「育て方のせいかな?」と思うこともあるかもしれません。

    けれど実は、そうした行動の一部には「生まれつき」の影響があるかもしれないのです。

    このテーマを調べたのが『Evidence for substantial genetic risk for psychopathy in 7-year-olds』という論文です。

    7歳の双子を対象に、冷淡さや反社会的な行動の出方を詳しく分析しました。その結果、行動には家庭の影響ではなく、遺伝の影響がとても強く関係していることが分かってきました。

    この記事では、この研究をもとに「問題児」とよばれる子どもたちの性格や行動、そしてそれに対する正しい理解と向き合い方について、わかりやすく紹介していきます。

    今回も、性格研究者で悪者図鑑著者のトキワ(@etokiwa999)が解説していきます。
    ※以下のHEXACO-JP診断は個人向けになります。サンブレイズテストは法人向けになります。

    HEXACO性格診断
    サンブレイズテスト

    目次

    問題児の遺伝と子どもの性格に関する研究

    問題児とされる子どもにはどんな特徴があるのか

    まず問題児とよばれる子どもには共通した特徴があります。

    なかでも目立つのが「反社会的な行動(AB特性:antisocial behaviour)」です。

    これは人をたたく、ものをこわす、うそをつくなどの行為をさします。

    さらに「冷淡で無感情な性格特性(CU特性:callous-unemotional)」が重なると、その子は特に注意が必要です。

    CU特性とは、他人に対して思いやりがなく、感情がうすい性格を意味します。

    こうした子どもは罪悪感を感じにくく、人の痛みにも無関心です。

    また、自分の行動を反省しないこともあります。

    • 他人にやさしくできない
    • けんかが多い
    • 自分が悪くても謝らない

    このような行動が多い子どもは、まわりから問題児と思われることが多くなります。

    つまり、問題児とは単に落ち着きがない子ではなく、人との関わり方に大きな問題をもつ子といえます。

    こうした特徴をもつ子どもは早期に支援が必要です。

    ※以下、出典は「教育は遺伝に勝てるか」より

    冷淡で無感情な性格特性(CU特性)とは

    CU特性とは、他人の気持ちを考えずに行動する性格です。

    たとえば、友だちがけがをしても心配しないことがあります。

    また、人を傷つけても悪いと思いません。

    このような性格の子は、しばしば感情をほとんど表に出しません。

    さらに、にこにこすることが少なく、冷たい印象を持たれることもあります。

    研究では、このような特性が強い子どもは7歳の時点ですでに確認されています。

    CU特性がある子には、次のような傾向があります。

    • 他人のけがやつらさに無関心
    • 罪悪感が少ない
    • 感情表現が少ない
    • 自分の成績に興味を持たない

    これらの特性は性格の一部であり、しつけだけでは変わらないこともあります。

    そのため、特別な理解と関わり方が求められます。

    このような子どもには早めに支援することが大切です。

    反社会的行動(AB特性)とはどんな行動か

    反社会的行動(AB特性)とは、まわりの人に迷惑をかける行動をさします。

    このような行動をとる子は、ルールを守らず人に対して攻撃的です。

    たとえば、友だちのものを勝手に持って行ったり、うそをついたりします。

    また、親や先生の言うことを聞かずに、すぐに怒ったり暴れたりします。

    • ものをぬすむ
    • うそをつく
    • よくけんかする
    • 注意しても聞かない

    これらの行動は一時的なこともありますが、くり返し続くと問題になります。

    特にCU特性がある子どもにAB特性が重なると、深刻な状態になりやすいです。

    つまり、感情がうすくて反社会的な子どもは特別な対応が必要になります。

    サイコパス傾向と問題児はどう関係しているのか

    サイコパス傾向とは、冷淡で反社会的な行動が強く出る性格のことです。

    大人のサイコパスはよく知られていますが、子どもにも同じ傾向が見られます。

    研究では、CU特性とAB特性がそろうと「サイコパス傾向がある」とされます。

    そのような子どもは、けんかやうそ、暴力などをくり返すことが多いです。

    さらに、まわりの人の気持ちを考えず、困っている人にも手をさしのべません。

    • 他人の痛みに無関心
    • 攻撃的な行動が多い
    • 感情表現が少ない

    このような子どもは、犯罪などに関わるリスクも高くなると考えられています。

    問題児のなかでも特に注意が必要なタイプといえるでしょう。

    問題児のなかにもタイプがあることが分かった

    研究から、問題児には少なくとも2つのタイプがあることがわかりました。

    ひとつはCU特性が強く、もうひとつはCU特性がないタイプです。

    CU特性がある子は、感情がうすくて罪悪感を持ちにくいです。

    一方、CU特性がない子は、まわりの環境によって行動が変わりやすいです。

    たとえば、家庭や学校の雰囲気がよくなると、行動も落ちつくことがあります。

    このように、反社会的行動(AB特性)をする理由は子どもによって異なります。

    • CU特性あり:感情がうすく、環境の影響を受けにくい
    • CU特性なし:環境の変化に反応しやすい

    つまり、すべての問題児を同じように見てはいけないということです。

    それぞれの子どもに合わせた対応が必要になります。

    問題児の遺伝に関する双子研究のアプローチ

    なぜ双子を研究するのか

    双子の研究は、性格や行動の遺伝の影響を明らかにできます。

    一卵性双生児はすべての遺伝子が同じです。
    二卵性双生児は約半分の遺伝子しか一致しません。
    同じ環境で育った双子を比較することで、行動の原因を分けられます。
    たとえば、一卵性で行動が似ていれば、それは生まれつきの影響と考えられます。
    もし二卵性のほうが違いが大きければ、遺伝の関係がより強いといえます。

    この研究では、冷淡さや反社会的行動の遺伝との関係を調べました。
    つまり、性格や行動が「育ち」か「生まれつき」かを判断するのに役立つ方法です。
    双子研究は、問題児の背景にある原因を理解する手がかりになります。

    一卵性と二卵性双生児の違いとは

    一卵性と二卵性の双子では、もつ遺伝子が違います。

    まず一卵性の双子は、1つの受精卵から分かれて生まれます。
    そのため、2人の遺伝子は100%同じです。
    顔や声もよく似ていることが多いです。

    一方、二卵性の双子は、別々の卵と精子から生まれます。
    ふつうの兄弟と同じで、遺伝子は約50%しか共通しません。
    外見や性格が異なることもあります。

    この違いを利用すると、どの行動が遺伝によるものかが見えてきます。
    行動や性格の原因を見分けるために、双子の種類の違いはとても重要なのです。

    研究に使われた子どもたちの年齢と人数

    この研究には3,687組の双子、つまり7,374人の子どもが参加しました。

    対象となったのは、1994年と1995年に生まれた子どもたちです。
    イギリスで行われた「双子早期発達研究(TEDS)」の一環です。

    調査は子どもが7歳のときに行われました。
    そのときの平均年齢は7.1歳でした。
    研究のなかでは、特に性別が同じ双子に注目しています。

    評価の対象として選ばれた子どもたちは、次の条件を満たしていました。

    • 冷淡さのスコアが平均より1.31以上高い(約13%)
    • 反社会的行動のスコアが平均より1.28以上高い(約10%)

    つまり、7歳の時点で行動に強い特徴がある子どもたちが研究の中心になったのです。

    教師による評価が選ばれた理由

    教師は子どもの行動を客観的に観察できる存在だからです。

    学校では、多くの子どもたちを一度に見ることができます。
    その中での行動の違いをよく見てきたのが教師です。

    さらに、教師は同年代の子どもをたくさん知っているので、基準がしっかりしています。
    家庭での評価とはちがい、偏りが少ないとされています。
    実際、教師の評価は高い一貫性がありました。

    • 冷淡さの評価の信頼性:0.74(高め)
    • 反社会的行動の評価の信頼性:0.71(高め)

    一方、親の評価は信頼性が低く、冷淡さで0.45、反社会的行動で0.58でした。
    そのため、正確なデータを得るには教師の評価が最適だったのです。

    性格特性の評価はどんな質問で行ったのか

    評価には、子どもの行動や感情をたずねる質問が使われました。

    冷淡で無感情な性格特性(CU特性)は7つの質問で見ました。
    このうち3つは「反社会的傾向を調べる装置(ASPD)」から、4つは「長所と短所アンケート(SDQ)」から選ばれました。

    たとえば、次のような内容です。

    • 「気持ちをあまり表さない」
    • 「悪いことをしても罪悪感を持たない」
    • 「友だちの気持ちを考えない」
    • 「学校での成果に関心がない」

    反社会的行動はSDQの5つの質問で見ました。
    内容は、けんか、うそ、盗み、反抗などです。

    これらの質問は、子どもの性格をわかりやすく数字で表すためのものです。
    教師が答えた結果は、信頼できる性格の指標として使われました。

    問題児の遺伝の影響が強いとされた性格特性

    冷淡で無感情な子どもの多くは遺伝的に似ていた

    冷淡で無感情な性格の子どもは、遺伝の影響を強く受けていました。

    研究では、7歳の双子を対象に行動の類似度を調べました。
    その結果、一卵性の双子はCU特性がとてもよく似ていました。
    一方で、二卵性の双子はそこまで似ていませんでした。

    くわしく見ると、一卵性の双子のCU(冷淡さ)スコアは73%も一致していました。
    対して、二卵性では39%と大きな差がありました。

    これは、CU特性が性格の違いではなく、生まれつきの影響で決まることを示しています。
    しかも、共有された家庭環境よりも、遺伝が大きく関係していました。

    つまり、冷たい印象のある子どもは、兄弟でも遺伝が強く影響している場合があるのです。

    家庭環境はほとんど影響していなかった

    家庭の環境は、CU特性に対してほとんど影響を与えていませんでした。

    研究では、家庭や学校などの共通環境が子どもの性格にどう関わっているかも調べました。
    ところが、CU特性に関してはその影響はわずかでした。

    たとえば、一緒に住んでいる双子が似ていれば、環境が関係している可能性があります。
    しかし、CU特性ではそのような傾向はほとんど見られませんでした。

    研究者たちは、家庭のしつけや学校の指導よりも、生まれつきの要素が強く出ていると結論づけました。
    つまり、育て方だけで変えられるものではないのです。

    この結果は、子どもの性格に対する見方を大きく変えるものです。

    感情の浅さは性格の違いではなく遺伝だった

    感情をあまり表さない子どもは、遺伝の影響を受けていました。

    たとえば、「友だちが泣いていても無関心」などの行動は、しばしば性格と考えられます。
    しかし、この研究では、それが性格ではなく遺伝によるものと示されました。

    感情の浅さや共感のなさは、しつけの問題だけではありません。
    CU特性のある子どもは、本人にとって自然な反応として感情を出さないことがあります。

    • 感情が表に出ない
    • 他人への興味がうすい
    • 楽しいことでも無表情なことがある

    このような傾向は、しつけや教育で完全に変えることは難しいとされています。
    つまり、子どもの個性ではなく、生まれつきの特性として理解すべきものなのです。

    親が見ても気づかないことが多かった

    親が子どものCU特性に気づかないことは多いです。

    研究では、教師と親の評価を比較しました。
    その結果、親の評価は信頼性が低く、一貫性に欠けていました。

    たとえば、教師はCU特性を安定して評価できました。
    しかし、親の評価は数値がばらばらで、あまり当てにならないという結果でした。

    • 教師の評価の信頼度:0.74(高い)
    • 親の評価の信頼度:0.45(低い)

    親は家庭での様子しか見ておらず、他の子との比較も難しいです。
    そのため、冷淡さや無感情さに気づかないことがあります。

    親が気づかなくても、学校では問題が出ていることが多いのです。

    冷淡さの影響は子ども時代から表れる

    CU特性の影響は、子どものころからはっきりと見られます。

    研究の対象となったのは、7歳の子どもたちでした。
    この時点で、すでに冷淡で無感情な傾向が確認されました。

    つまり、大人になってから現れるのではなく、幼児期からすでに性格として表れているのです。
    このことは、早期発見と対応の必要性を示しています。

    たとえば、次のような様子がある場合は注意が必要です。

    • けがをした友だちを無視する
    • 悪いことをしても謝らない
    • 感情のこもった表現がない

    こうした行動が見られる子どもには、できるだけ早く専門的なサポートが必要だと考えられます。

    問題児の遺伝が反社会的行動にどう関係するか

    反社会的行動も遺伝の影響が強いタイプがある

    反社会的な行動にも、遺伝が強く関係するタイプがあります。

    子どもによっては、けんかや暴力、うそなどの行動が目立ちます。
    これらがすべて育ちや環境のせいとは限りません。
    研究では、反社会的行動にも遺伝の影響があると示されました。

    とくに、一卵性双子の間では、反社会的行動の一致率が高くなっています。
    つまり、その行動は生まれつきの性質としてあらわれている可能性があるのです。

    もちろん、すべての子がそうではありません。
    ただし、特定のタイプの問題児には、家庭では変えにくい行動のパターンがあるとわかりました。

    冷淡さがあると遺伝の影響がより強くなる

    冷淡さ(CU特性)があると、反社会的行動に対する遺伝の影響がより強くなります。

    研究では、CU特性を持つ子どもとそうでない子を分けて分析しました。
    すると、CU特性がある子では、反社会的行動の遺伝率がとても高いことが明らかになりました。

    具体的には、CU特性ありの子どもの反社会的行動における遺伝の割合は81%でした。
    これは非常に高い数値です。
    また、このタイプでは家庭や学校などの環境の影響はほぼゼロでした。

    • 遺伝の影響:とても強い(81%)
    • 環境の影響:ほとんどなし

    つまり、冷淡さを持つ問題児は生まれつきの性格が原因となっている可能性が高いのです。

    冷淡さがない子は家庭の影響が大きい

    冷淡さがない子どもの反社会的行動は、環境による影響が大きいです。

    同じように反抗的だったり乱暴だったりしても、CU特性がない場合は話が違います。
    研究では、このタイプの子どもには家庭や学校の環境が深く関係していました。

    たとえば、家庭の雰囲気が悪い、親のしつけが厳しすぎるなどが原因になることがあります。
    このタイプでは、遺伝の影響は30%程度とされました。
    一方、共有された環境の影響は34%もありました。

    • 遺伝の影響:やや弱い(30%)
    • 環境の影響:やや強い(34%)

    つまり、冷淡さがない子は、まわりの状況を変えることで行動も改善しやすいといえます。

    似たような行動でも背景が違う

    同じように見える行動でも、原因はまったくちがうことがあります。

    たとえば、2人の子どもがけんかをよくするとします。
    でも、一方はCU特性が強く、もう一方は感情が豊かで家庭に問題がある場合もあります。

    つまり、表面だけを見て同じ対応をしても効果がない可能性があります。
    行動の背景にあるものが異なるからです。

    • CU特性あり:生まれつきの性格が原因
    • CU特性なし:家庭やまわりの影響が原因

    このように、行動の「見た目」ではなく「理由」を見て判断する必要があるのです。

    子どもによって対応の仕方を変えるべき理由

    すべての子どもに同じ接し方をするのは効果的ではありません。

    研究の結果、同じような問題行動でも、子どもによって原因が異なるとわかりました。
    それに応じて、支援やしつけの方法も変える必要があります。

    たとえば、CU特性がある子には感情のトレーニングや専門的な支援が効果的です。
    一方、CU特性がない子には、家庭や学校の環境改善が重要になります。

    • 子どもごとの性格を理解する
    • 原因にあわせた対応を考える
    • 効果のある方法を選ぶことが大切

    このように、一人ひとりに合った対応を考えることが、問題の改善につながります。

    問題児の遺伝が教えてくれる未来へのヒント

    冷淡さと反社会的行動の組み合わせは要注意

    冷淡さと反社会的行動が重なる子どもには特別な注意が必要です。

    どちらか一方だけでは、まだ改善の余地があります。
    しかし、2つがそろうと、問題の深刻さが増します。
    研究では、この組み合わせの子どもは犯罪に関わる可能性が高いとされています。

    とくに、自分の行動を悪いと思わない傾向が強く、まわりの人に共感する力も低いです。
    こうした特徴がある子どもは、他人を傷つけても平気でいることがあります。

    • けんかをくり返す
    • 罪悪感をもたない
    • 他人の苦しみに無関心

    このような状態が続くと、社会に出てからも問題を起こしやすくなります。
    だからこそ、組み合わせが見られる子には特別な支援が必要なのです。

    脳の働きと性格特性のつながりにも注目

    性格特性と脳のしくみには深い関係があると考えられています。

    たとえば、感情を感じたりコントロールしたりする部分の働きが弱いと、CU特性が出やすくなります。
    研究では、大人のサイコパスにおいて「へんとう体」や「前頭葉」のはたらきに異常が見つかっています。

    同じように、子どもでもこれらの脳のはたらきに問題がある可能性があります。
    これは、単なる性格のちがいではなく、脳の反応の違いとしてあらわれているかもしれないということです。

    • 感情がうすい
    • 他人の気持ちを感じにくい
    • 自分の行動を止められない

    このような行動の背景には、脳のしくみがかかわっている可能性があります。
    今後は、脳と性格の関係を解き明かす研究がますます重要になります。

    遺伝を理解することで治療法が進むかもしれない

    問題行動に関する遺伝のしくみがわかれば、新しい治療法の開発につながります。

    たとえば、将来は特定の遺伝子が性格にどう影響するかが明らかになるかもしれません。
    すると、それに合った薬やトレーニング法が考えられます。

    現在も、気分や不安をやわらげる薬は使われています。
    それと同じように、感情のコントロールを助ける方法ができる可能性があります。

    • 脳の機能に合わせた支援
    • 遺伝の特性に合ったプログラム
    • 子どもに負担をかけない治療法

    このように、遺伝の知識は未来のサポート法を作る土台になるのです。

    家庭での対応だけでは限界があるケースもある

    冷淡さや強い反社会的行動をもつ子どもは、家庭だけでの対応では足りないことがあります。

    親がどれだけ気をつけても、問題が改善しないことがあります。
    それは、原因がしつけや家庭環境ではなく、生まれつきの性格特性や脳のはたらきにあるからです。

    たとえば、次のようなケースでは家庭だけでの対応は難しくなります。

    • 反省しない行動が続く
    • 他人に対して暴力をふるう
    • 感情がまったく動かないように見える

    このような子どもには、医療や専門機関の力が必要です。
    家族が一人で抱えこまないためにも、社会の支援体制が大切です。

    早期発見と個別対応が社会全体のカギになる

    問題行動は早く見つけて、子どもに合った対応をすることが何より大切です。

    7歳という早い時期から、性格特性や行動の傾向はすでにあらわれています。
    この段階で見つけることができれば、将来のトラブルを防ぐことができます。

    しかも、子どもによって原因や性格が異なるため、同じ方法ではうまくいきません。
    一人ひとりに合った支援が必要です。

    • 性格を理解する
    • 原因に合わせた対応をする
    • 専門家と連携して支える

    このような取り組みが増えれば、社会全体がより安心できる場所になります。
    早期の支援は、子どもにも家族にも大きな力になるのです。

    最後に

    「問題児」と聞くと、わがまま、反抗的、ルールを守らない…そんなイメージを持つかもしれません。けれど、この研究から分かったのは、それらの行動が育て方だけでなく、生まれつきの性格や遺伝によって強く影響されているケースがあるということです。

    冷淡さ(CU特性)や反社会的行動が強い子どもは、早くから特別な支援が必要です。すべての子に同じ方法で接するのではなく、それぞれの子どもに合ったサポートが大切です。

    また、親だけでがんばるには限界がある場合もあります。だからこそ、社会全体で理解を深め、早期発見や支援の体制をととのえることが必要です。

    問題児という言葉の奥には、見えにくい苦しさや特性があります。この研究は、それに気づくきっかけを私たちに与えてくれます。

    tokiwa eisuke

    ライター 兼 編集長:トキワエイスケ @etokiwa999
    株式会社SUNBLAZE代表。子どもの頃、貧困・虐待家庭やいじめ、不登校、中退など社会問題当事者だったため、社会問題を10年間研究し自由国民社より「悪者図鑑」出版。その後も社会問題や悪者が生まれる決定要因(仕事・教育・健康・性格・遺伝・地域など)を在野で研究しており、社会問題の発生予測を目指している。凸凸凸凹(WAIS-Ⅳ)。