• Tokiwa Eisuke

なぜインド(海外)で最初に事業を立ち上げるのか?そしてグローバルスタートアップを目指すにあたって

更新日:2021年8月9日


人に会うたびに聞かれるー「なぜインドなのか?」


一部VC(Incubate FundやBeenextなど)を除いて、大多数のVCや大企業はインドにビジネス上かかわっていない。主な理由としては「(1)遠い、(2)汚い、(3)まだタイミングじゃない」である。


その結果、日本から海外進出といえば、顧客単価の高いアメリカやEU、もしくは比較的近くて住みやすいベトナム、タイ、インドネシアとなる。(これを聞いたとき人間はやっぱり感情的な生き物なんだなあと思った)


今回は僕がなぜインドを最初のエリアに決めたのか、その理由を公開したいと思う。


客観的(合理的)な理由


ビジネスは戦争的(競争的)な考え方と不可分にある。確かにビジネスで命を奪い合うことはないが(過労死や裏社会を除く)、戦争中に「好きな方法で戦おう!」というものなら死にやすい(負けやすい)。なぜなら企業間のサービスに優劣があるからだ。そのため必ず僕は「好きなやり方」よりも「有利になりやすい方法」や「勝ちやすい(負けづらい)方法」から選んで逆算していく。


・インドはインドネシアよりも人口が多くて、経済成長していて、アフリカと違って1つの国で統一されていて、中国ほどには政治的リスクが低く、ブラジルよりも比較的近いから。


・人口が大きいため、そのうちの10%(小さい市場)を独占しても1億人(絶対数が大きい市場)が顧客になるから。そのためどこかのセグメントに好かれるサービスを作れば失敗しづらく、堅実にサービスを成長させて資本回収しやすいから。


・インドでサービスのアイデアを見つけることで、インドと同じような経済状況の他の新興国(ブラジルやインドネシア)に再現(スケール・横展)しやすいから。もしくは先進国への価格破壊になるから。


・携帯に関していえばガラケーが6割で、最近通信費が破壊的に安くなり、データの利用について日本よりは寛容だから。


主観的(感情的)な理由


確かにビジネスには競争の要素が強く存在するが、本当に勝ち残れるプレイヤーは競争(敵)ではなく、顧客(ファン・味方)を増やすことに徹している。しかも合理性だけで5-10年もやりたくないことをやり続けることは精神が崩壊するレベルだ。そのため合理から始めた僕にももちろんこのビジネスへの思い入れがある。


・裕福な家庭ではないし、どうやったら上手くいくか分からないけど、1日10何時間も働けるほどに気合いがある人が多く、それが僕の過去にとても重なって支援したいと思うから。


・さらに僕の場合はGoogleで勉強したり、Amazonで中古の本を買ったり、Facebookで勉強した内容を投稿して色んな人を紹介してもらったりもした。いい学校やいい親でなくてもデジタルサービスで人生を改善することができるため、インドの人にもそれを提供したいと思った。


・ゲームや動画などその人の家族や社会に対して生産性の高くないことに時間を使っている人たちがそんなに多くなく、上記の仕事を頑張る人のほうが圧倒的に多くいるから。


・今、経済成長から落ちこぼれないように支援しなければ、将来彼ら・彼女らが国内でも国外でも社会的・政治的に不安定な要因となってしまう恐れがあるから。


・国全体がスタートアップという感じがして、10-20年後のメインストリームとなりうる「地鳴り」を感じるから。


・携帯に関して言えば僕自身もiPhone5を5年使って、パスコードを入力しても画面が開かないという動作不良に悩まされ、でも大きい画面のスマホは購入したくない、というニーズが存在したから。


しかしグローバルスタートアップは大変だ


ここまでピュアに事業を設計・実装してきてしまったが、起業家は本当に海外でやるべきなのか考えるべきである。国内で起業することの限界はこちらで書いたが(参照「全国民の賃金を上げるほどのサービスをつくる大企業が日本から生まれなくしてる3つの勘違い」)、今回はグローバルスタートアップをやるにあたっての注意点を列挙する。


(僕は以下にやりながら気づいたのであまり説得力がないが、これから海外を目指すスタートアップには時間を無駄にしてもらいたくないために気づきを共有したい。要議論の部分もあるかと思うのでそのあたりはぜひコメントをいただきたい。)


・英語ができないなら1か月フィリピンに行くのがいい


新しい語学を最低限聞き取れるようになるには、最低限触れる時間が決まっているらしい。それが1か月1日8時間だと3か月の短期留学に相当するらしい。そういう意味では日本でもできるのだが、環境とは大きいもので、行ってしまえば「生き残るために」習得せざるを得なくなるのでおすすめだ。


あとは仕事という目的の中でひたすら使っていればぺらぺら喋れるようにはなる。しかし細かな文脈が分からないため、英文を作ると全然だめなので、ある程度トラクションを作って調達できたら、ネイティブクラスに英語ができる人を採用するのがいいと思う。


(僕は運よく大学で短期留学に行っていたので最低限は話せるところから始まった)


・世界のセグメントを整理して、どのセグメントを支援したいのか決めた方がいい


グローバルスタートアップを重視する人の多くの考えは「日本からもグローバルで活躍を!」みたいな人が割と多い。ただそんな国家意識でグローバルマーケットで生き残った人をあまり見かけない。


生き残っている人はグローバルニッチというぐらいに75億人の数%のセグメントをとろうとしている。例えば富裕層、エンタメ、労働者といった具合に。なので世界の中でどんな人に一番思い入れが強いか、それを決めてからその人たちにヒアリングするのが良い。


そしてその人たちが持っているニーズが意外と他のセグメントへ横展開できたりもするし、多国展開するときもやりやすい。グローバルにスケールできるかどうかは最初に検証するセグメント次第で大きく変わる。


(僕は下位中間層の労働者を支援したいと決めている)


・勝てるビジネスモデルを選ぶべき


日本の要素技術やクールジャパンをただ販売するだけのビジネスモデルでは結果的にもグローバルニッチ止まりになってしまう。ここでサブスクリプションやプラットフォームといったビジネスモデルを使うことでグローバルでの自然流入が発生し、一気に多国展開を行いやすくなる。


・登記は海外で行うほうがいい


シンガポールやアメリカ・デラウェア州など、登記しやすい地域が存在する。それらで登記することのメリットは(デメリットでもあるが)英語の手続きだということだ。これが海外の投資家から資金調達を行う際には書類を翻訳する必要がなくなり、交渉がしやすくなる。


海外の投資家が日本の企業に投資する場合は登記書類の翻訳が必要になる。500 Startupsやドレイパーネクサスなど、日本に拠点のある海外VCから出資を受けていると海外VCから信用を得やすいかもしれないが、そうでない場合ちょっと面倒になる。(弊社は後々気づいた)


・投資家は海外で探すほうがいい


日本の投資家は意外と合理的ではないので、投資効果を最大化するために海外調査をしていることは少ない。そのため海外の事情を知っている日本の投資家はかなり少数派となる。海外のことが「感覚的に」分からない場合、投資できない。


分からないだけではなく、VCの目論見書に「国内産業に資する」スタートアップに投資が限定されていることもあり、機能的に最初から海外市場を狙っているスタートアップは出資を受けづらかったりもするらしい。


そのため展開先の投資家か、自国のマーケットが小さいために(イスラエルや韓国など)グローバルスタートアップに投資する投資家か、何かしらテーマを決めている投資家(B2B SaaSなど)を海外で探すことになる。


・現地のパートナーを早めに見つけた方がいい


海外展開に際して営業でよく使うのはその国の展示会である。インドネシアやシンガポール、ドイツ、ドバイ、スペインなどいたるところでスタートアップ向けの展示会が開催されているが、参加費が低いと学生やスタートアップのエンジニアが多く参加しており、あまり投資家や事業会社などとは会いづらく、ビジネスに結びつかない場合も多い。


もし投資家や事業会社と会いたい場合は、参加費の高い展示会に参加するか、LinkedInで直接連絡を取るか、もしくは現地のアクセラレータに所属してネットワーキングを行ったほうがいい。そのネットワーキングのなかでツテのある人を探していき、紹介に紹介を重ねて会いに行くのだ。


そして究極はその紹介された人を自分のチームに入れて、その人を経由してさらにビジネスに巻き込むことだ。その人がその後の現地のパートナーや支店のHeadになるとさらに心強い。