• Tokiwa Eisuke

海外展開スタートアップの圧倒的なサポーター不足とその愚鈍さ

「海外展開」、色んなスタートアップに限らず色んな企業が口にする施策の一つである。なぜこれが重要なのかと言えば単純に「日本語よりも英語のほうが使う人多い(=共通する文化を構成する人口が日本よりも海外の方が大きい)→つまり市場も大きい」というものだ。

スタートアップサイエンスが徐々に広まってきているため理解されてきていると思うが、商品・サービスが売れるために必要なのは地道な仮説検証である。しかし、その仮説検証のプロセスも最初にどの国・地域で行うかでその後のスケール(どれぐらいの人口と単価のユーザーに広まるのか)に関わってくる


その意味でいうと、日本で日本人に対してニーズの仮説検証を行えば、アメリカやEUの人々に欲しがられる可能性が薄まるのは当然のことだ。明らかに文化も経済状況も違うためだ。にもかかわらず日本で上場したスタートアップが「次は海外展開」と平気で言う。

だからインターネットのサービス(=簡単に国境またいでサービスを展開できる分野)だとしても、Yahoo! Japan(検索)や楽天(EC)よりも、GoogleやAmazonが大きく成長しやすいのは必然なのだ。彼らは最初にその地域で仮説検証を行えるからだ。


そんなことも知らずにただただ「平成元年と平成30年の「世界時価総額ランキング」を比較すると、バブル期の日本が相当ヤバかったし世界の変動も見て取れる」とかを読んで悲観している人々もいる。(つかそもそも評価額はもちろん未来に貢献できるイノベーティブさもあるが、それと同時に市場で勝つための必要な資金額から決まることも知られていない。)


こういった成長限界をまず理解する必要がある。そのうえで日本のスタートアップ含め企業が海外展開をしたり、それを支援する側は様々な準備をする必要がある。しかし、海外展開をしている弊社からすればそれらは全く不足していると感じている。例えば、


・日本人から海外の重要人物への紹介の少なさ、つまり日本人が海外で良い事業を行ってネットワークを作ってこなかった(→紹介がとても重要)

・日本人投資家があらゆる科学・技術の知識を不足している(→共感以前に理解できることが重要)

・J-Startup含め、公的な海外展開支援のメインの要素がただの展示会参加や調査のみ(→市場アクセスは現地企業との直接的なミーティングが重要)

・スタートアップを日系大企業とつないで海外展開支援するアクセラがあっても海外でプレゼンスの弱い日系大企業(→プレゼンスの高い外資企業のほうが重要)

・JICAの海外支援関連の助成金とるのに現地議員とのコネクションが必要なのに、そのコネクションやそのコネクションにつながる能力もないコンサル会社(→申請とは申請する前に決まってることが重要)

・香港やシリコンバレーの海外投資家のほうが意思決定も早く金額も大きい「イメージ」から、海外投資家から投資を受けるよう助言する人々(→そんな簡単に大きい額がポンと動くわけではない)


海外展開において何よりも重要だと思うのは「現地の重要人物(人・物・金・情報を持っている視座の高い人)とつながって事業を説明する機会を得られるかどうか」である。その一瞬のためにあらゆる準備が必要なのだ。別に正しくない仮説を無理矢理紹介する必要などないが、正しい仮説は重要人物に紹介できるかどうかで大きな違いが生まれる。


別にタラタラ愚痴をこぼしたいわけではない。なぜなら海外展開するために必要な海外でプレゼンスのある投資家や大企業を自分で少なくとも見つけることができているからだ。


だからこそその経験のなかで過去に何回も聞く「優秀な人は海外に出てしまう」という日本好きの嘆きの意味が分かってくる。


ただ単に、戦後、もしくはバブル崩壊以降、日本はただただ怠けていたのだ。