• Tokiwa Eisuke

Web・アプリサービスの新規ユーザー獲得の闇「おいこれスケールしねえじゃん」

多くの年配者は言う、「Webやアプリで簡単に起業できる時代でいいね!」、と。確かにこれはある一面は正しい。飲食店を立ち上げるには最初にかなり資金が必要になるが、Webやアプリならプログラミングスキルとパソコンだけでいい。


しかし、その環境も20年もたつと変わってくる。プログラミングスキルが誰でも勉強できるようになると、参入障壁が低くなる(=競合が生まれやすくなる)。その結果、Webやアプリで起業した人たちは、「パイ(=市場の母数)」の取り合い(=競争)となる。


もし、インターネットの普及率が年々高い比率で増えていくのなら、そして全員がインターネットを使うようになるのなら、さらにインターネットユーザーが多くのことに積極的に関心を持つユーザーなら、Web・アプリサービスも新規ユーザーを獲得しやすいだろう。


しかし現実は違う。普及率はだんだん横ばいになり、全員が1日中ネットに向かうわけではなく、だいたいの人は自分に関係のあることしか興味を持たない。普段使うWeb・アプリサービスは決まってくる。「自然流入」は薄くなっていく。


そしてサービス提供側はマーケティングにお金を使う、投資家も投資せざるを得なくなる。メッセージ性を捨てた面白ろテレビCMや、色んな有名人やキャラクターとのコラボ企画、ネット時間が少ないオフラインユーザーに露出するためのイベント開催、色んな検索ワードにひっかかるように無理やり行うネット記事作成、広告露出先・メルマガ配信先を増やすための他の事業者との会員データの提供し合い、などなど。


ここまで頑張ってもほとんどの場合、新規ユーザー数は大きく伸びない。そこでサービス設計時に重要になるのが以下であり、それぞれに限界がある。


既存産業へのデジタル化:製造や金融、農業など。市場はとにかく大きく見える。 →既存産業の関係者はインターネットに疎いため、優しく丁寧にサポートするコストが上がる。

サービスのtoB化:toCのユーザー数・単価を増やすことの難しさ、toBの単価の高さ →企業は業務フローがあり、普段の業務を変えようと考えることが少ないため自然流入が難しい

競合に真似されづらいビジネスモデル:ネットワーク外部性(=簡単に言えばそのサービスでしか利用できない何か。例、Facebookを使わないとFacebookユーザーと繋がれない) →Take Allできれば価値があるが、初期の時点でみんな同じビジネスモデルを使おうとして、パイの取り合いとなる。マーケティングや人材の資金勝負となる。

海外展開:ユーザー数を増やすために日本以外の国々へアプローチする →日本は意外と特異な経済状況であるため、他国で同じようなユーザーを探すことが難しい(アメリカですら)。「課題先進国」と言われるが、他国で同じ課題がくるのがだいぶ先だったり、意外と他の国も同じ課題を持っていることがなかったりもする。


多くの起業家は、起業してビジネスモデルを検証する際や、資金調達をする際、それならまだいいがユーザー数が急に伸びなくなった際に気づくこととなり、「急成長」を夢見て大企業から転職してきた「優秀に見える」人たちがどんどん抜けていくことになる。


僕はこれらの限界にスタートアップ3社経験して気づき、もうWeb・アプリサービスはやりたくなかったため、ハードウェアかつインド発(他の新興国でも似てるユーザーを見つけやすい)と決めたわけである。


※その結果、限界なんてどうでもよく(=上場後なんて興味なく)、ひとまず最低限成長してキャピタルゲインできればいい投資家には好かれないわけである。